「右側通行」存否で論争＝沖縄返還で各省調整―外交文書

「右側通行」存否で論争＝沖縄返還で各省調整―外交文書

時事通信 10月30日(水)16時12分配信

　米国統治下の沖縄で定着していた車両の「右側通行」を、本土復帰後も認めるべきかどうか―。1972年の沖縄返還を前に、関係省庁間で交わされたやりとりが、30日公開された外交文書で明らかになった。県民生活の利便性から交通インフラの問題、国際条約などが絡み、当時の担当者らが頭を悩ませた様子がうかがえる。
　70〜71年の外務省メモによると、調整役の総理府は当初、「琉球政府としては主として経済的観点から右側通行を変更したくない考えで、警察庁も沖縄の交通事情を勘案し、同様の見解」と報告。「復帰後も右側通行を存続する方向に方針を固めたい腹づもりだ」と伝えていた。
　ところが、外務省が精査した結果、日本も加盟している道路交通条約は、車両の通行する側を各国内の「全ての道路」で統一するよう義務付けていることが判明。沖縄を例外にすれば「条約違反になる」と判断した。
　運輸省は沖縄返還に合わせて同条約を改定し、例外を認めてはどうかと提案したが、外務省は「条約の精神に逆行するような改定は到底不可能」と反論。条約脱退案にも「いったん国会を通過して順守を誓った条約から軽々に脱退するのは望ましくない」と退けた。
　ただ、通行方向が変われば高速道路の出入り口や信号機、道路標識の位置も変更しなければならない。運輸省は「一番の問題はバス昇降口の切り替えだ」と指摘。調整の結果、3〜5年の移行期間を設けた上で左側通行に切り替える案で、各省庁が折り合った。　

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131030-00000117-jij-pol
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